竹の茶室「帰庵」は、必要最低限の竹で作った空間を茶室に見立てた建築物です。
帰庵には、柱や屋根はあるが、天井や壁はなく、質素の極みであり、茶室としては不完全であるが、不完全を美しいと思う心を感じることができます。そして、その場所の景色を帰庵に取り込むことで、帰庵に入った人の想像の中で茶室として完成されます。
帰庵は実用性にこだわり、持運びできるように軽くて丈夫な竹で作っており、3m×3mのスペースがあれば、お気に入りの絶景の中に建てることができます。
帰庵に入り、純粋に自然や人との出会いや五感でその場の空気を感じてほしいと思っています。
戸田惺山(とだせいざん)
1967年 京都市生まれ 大徳寺大慈院副住職。同志社大学卒。会計事務所に勤務後、仏の道へ。天龍寺、大徳寺の僧堂で5年半の修行生活をおくる。フランス、ドイツでも座禅指導や教会で読経をした。山歩きが好きで、自然を感じながらお茶を楽しめる帰庵でお茶を点て、日本の四季を楽しんでいる。
稲井田将行(いないだまさゆき)
1976年 大阪府豊中市生まれ 京都市在住。同志社大学を卒業後、精密機械メーカーを経て、自然と共存した数寄屋建築の魅力に惹かれ、建築の道へ。大本山大徳寺御用達の株式会社山中工務店へ。茶室などにみられる侘び寂びの独特な空間美を世界に伝える為に、一人で持ち運び、組み立てができる竹の茶室「帰庵」をつくる。日本各地で帰庵を建て、自然を感じながらお茶を楽しむ活動をしている。