ミケル・バルセロと小林康夫によるトークです。
“Anima(魂/生命)―――ミケル・バルセロはAnimaの魔術師である。絵具だけではない、土、水、粘土、石膏、ジャベル水、ブロンズ....ミケルの手が動き、身体が踊ると、たちまちのうちに、われわれの目の前に、〈生命〉が立ち現れる。物質が流れ、口や目や尻が現れ、魚が泳ぎだし、動物たちが疾駆しはじめる。そこには、われわれもいる。わたしもあなたもいる。〈生命〉のこの野生の起源。ミケルの絵画は、遠くラスコーやショヴェの洞窟絵画にまっすぐにつながっている。それはもっとも古い絵画の起源だ。そしてもっとも新しい絵画の現在だ。ピカソやミロのスペイン絵画の伝統を受け継いで、地中海の海と光のなかから、そしてアフリカの大地から、力強い〈生命〉の絵画が立ち上がっている。”
– 小林康夫
ミケル・バルセロ(Miquel Barceló)
1957年スペイン生まれ。絵画と彫刻に対する実験的な取り組みで知られる現代アーティスト。1970年代にマヨルカ島のパルマ装飾芸術学校とバルセロナ美術学校で学ぶ。抽象とコンセプチュアルの影響を受容するバルセロの芸術は、絵画、陶芸、インスタレーションなど、多義におよぶ。現在は、パリ、マリ、マヨルカを行き来しつつ制作を行う。2004年、ルーヴル美術館にて作品を展示した最年少のアーティストとしても知られている。「私はいわゆる画材を発明するのが大好き。新たな方法論を発明するのが私の為すべき仕事の一つだと思う」と語っている。
小林康夫(こばやしやすお)
1950年東京都生まれ。
(表象文化論・現代哲学)
1974年東京大学教養学部卒業後、同大学院人文系比較文学比較文化専攻修士修了。パリ第10大学テクスト記号学科博士号取得。東京大学大学院総合文化研究科教授を経て2015年4月より青山学院大学院総合文化政策学研究科特任教授。専門は、表象文化論、現代哲学、フランス現代文学、現代思想。2003年より15年まで東京大学グローバルCOE「共生のための国際哲学研究センター」(UTCP)拠点リーダーをつとめた。2002年フランス政府・学術教育功労賞シュヴァリエ受賞。
著書に『不可能なものへの権利』、『無の透視法』、『起源と根源』、『大学は緑の眼をもつ』、『光のオペラ』、『思考の天球』、『身体と空間』、『建築のポエティクス』、『青の美術史』、『出来事としての文学』、『Le cœur/la mort』、『表象の光学』、『知のオデュッセイア』、『歴史のディコンストラクション』、『こころのアポリア』、『存在のカタストロフィー』、『ミケル・バルセロの世界』、『「知の技法」入門』など、編著書に『知の技法』『知の論理』『知のモラル』『文学の言語行為論』、訳書に『ミシェル・フーコー思考集成』(共編訳)、リオタール『ポスト・モダンの条件』、デュラス『緑の眼』、リオタール『インファンス読解』(共訳)、デリダ『名前を救う』などがある。
なお、最新著は、『君自身の哲学へ』(大和書房)、『表象文化論講義 絵画の冒険』(東京大学出版会)。
[参加費]
無料
[言語]
英語(日本語通訳)
[ご予約用プログラム名]
ミケル・バルセロと小林康夫によるトーク