電気技師が8年の歳月をかけ鮮烈に写す
中国の最安列車 “The Green Train” の乗客たち

中国の緑皮車とは、文字通り緑色の列車を指す。かつて中国を走る鉄道の車両は深緑色に統一されていたが、しだいに特急や高級列車、改良された新型の車両は別の色で塗装されるようになり、 緑皮車はもっとも料金の安い最下層列車の代名詞になったという。国慶節等で出稼ぎ労働者の帰省におこる“人民大移動”や、海外での“爆買い”が話題の特権・中産階級とは大きく異なる日常が、その電車の中では繰り返されている。写真家チェン・ハイフェン（銭海峰）は、バックパッカーとして中国じゅうを旅行しながら、そんな最低料金の客車に乗る人々を撮影し続けた。8年間を費やしまとめた《The Green Train（緑皮車）》には、日々を生きる人々への優しい眼差しと、研ぎ澄まされた写真感覚が表れている。
チェン・ハイフェンは1968年江蘇（こうそ）省無錫（むしゃく）市生まれ。1995年に写真をはじめ、今もホテルの電気技師として働きながら制作を続ける。本作《The Green Train》は、中国南部の連州市で開催される写真祭、Lianzhou Foto FestivalのLianzhou Foto Awardで2015年度の大賞を受賞したほか、近年、新聞社主催のコンクール等で度々受賞し、期待の写真家として注目を集める。